Obsessed [映画]

bara.jpg2014年公開の韓国映画、[Obsessed]( 悪霊や悪夢に取り付かれること)(日本題名 [情愛中毒]はあまり良い題名とは言えない?)は、韓国人気俳優ソン・スンホン主演と濃厚なラブシーンで、評判になった映画です。

しかし、この映画は、韓国人・韓国社会の様々な出来事、問題点、反省を背景にした、とても深い内容の映画と思います。

この映画の大きなテーマは、韓国・韓国人の「ベトナム戦争」です。


ベトナム戦争の終盤頃、ベトナム帰還軍人である、主人公のキム・ジンピョン少佐は、ベトナムでの勇敢な戦い振りで「英雄」として軍の教育係りの職に付き、上官の娘とも結婚し、順調にエリートの道に進んでいるように見えました。しかし、彼は、ベトナムでの過酷な体験から、精神を病んでいて、精神科のカウンセリングを受けたり、大変なヘビースモーカーでもありました。

ある日、ジンピョンの官舎の隣に、部下の夫婦が住むことになります。部下のウジンもまた、ベトナムの帰還兵で、ジンピョンを「ベトナムでの英雄」として尊敬していました。妻のガフンは、母が中国人、父が韓国人と言う、複雑な家庭の出で、幼いころから、現夫のウジンの家に預けられ、無理やり、彼と結婚させられたと言う事情も抱えています。

軍人の妻たちは、主に、ベトナムで負傷した、傷痍軍人たちが入院する病院で、彼らの看護をするボランティアを定期的に行っていました。ガフンもこのボランティアに初めて参加することになりました。ところが、ガフンの担当した、足を失っていたベトナム帰還兵が、突然、「ベトコンが俺を殺しにやって来る!」と大声で叫び、枕の下に隠し持っていたナイフで、看護していたガフンの首に切りつけます。

この時、引率役のジンピョン少佐が、間一髪、この傷痍軍人からナイフを取り上げ「ここはベトナムではないよ!君はもうソウルに戻ってきているから安心して」と説得し、ガフンを助けます。

これを機に、ジンピョンとガフンの心は超接近して行きます。

ジンピョンには、やはりベトナム帰還兵で、小さなクラブを経営する友人がいます。ジンピョンは彼には様々な相談もし、ありのままの自分をさらけ出す大切な友人でもありました。彼は音楽が好きで、その店にはいつもクラシックの音楽が流れていました。(LPレコード)ある時は、テノール歌手が歌う

ドニゼッティ作曲のオペラ「愛の妙薬」の「人知れぬ涙」でした。彼が言います。「ベトナムにいた時、アメリカの流すラジオのクラシック専門のチャンネルで、これを覚えた。過酷な戦場で、どれだけ、慰められたか知れない!」  また、ある日、店で、友人とジンピョンと二人でテレビで中継された、アメリカの月面着陸の映像を見ていた時、彼は言います。「ヤンキーのやつらは、こんなに凄いことやってのける連中なのに、ベトコンと対した時の、あの無様な姿は、一体何なのだ!同じアメリカ人か?」

ジンピョンとガフンの関係は、ついに、それぞれの家族や、軍の知るところとなり、ジンピョンは離婚し

軍も免職になります。そして彼は再び、まだ戦争がくすぶる、ベトナムへ旅立ちます。一民間人として

タイとベトナム国境付近で、ガイドの仕事に就きます。

数年後、ガフンのもとに、一人のベトナムの帰還兵が訪ねて来ます。「ある人の遺言でこの写真を届けに来ました。タイとの国境で我々韓国軍のガイドをしてくれていた人で、非常に勇敢な人だった。残念なことにベトコンの生き残りに殺されてしまった!所持品を調べていたら、この写真が出て来て、自分にもしものことがあったら、これを彼女に渡して欲しい!と書いてあった」それは、友人のクラブで撮った、ジンピョンとガフンのツーショットでした。


ベトナム戦争を扱ったアメリカ映画は、「ディアハンター」、「地獄の黙示録」、「プラトーン」の3本が有名です。この3本を観ると、アメリカのベトナム戦争への贖罪の心と、戦争で犠牲になった多くのアメリカ人へのオマージュを強く感じます。「映画の国」としてのアメリカ人のひとつの表現かもしれません。見るのに忍耐が要りますが、ベトナム戦争を忘れないための財産とも言える作品です。


そして、一方、この韓国映画「Obsessed]は、アメリカとは違った形で、韓国が関わった「ベトナム戦争」を、扱い、表現しています。立場は違いますが、近い人種の親近感のようなものを、私は、感じました。


ベトナムに送られた韓国兵は、1968年には5万人を超えた記録があります。戦争を始めたアメリカ軍に次ぐ数とも言われています。この事実を知って、韓国の映画やテレビドラマを観ると、日本の映画やドラマとは違った側面が見えて来て、興味深いです。Kiki

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

眞しほ会街の音 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。