ジェシー・ノーマン [音楽]

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アメリカ人の黒人のソプラノ歌手、ジェシー・ノーマンが、先月9月30日に亡くなりました。74歳でした。

150KGは越すと思われる巨体から生まれる、彼女の声は、他の誰とも競べることが出来ない、独特な色でした。加えて、彼女の音楽は非常に洗練されていて、黒人霊歌でさえ、崇高と言える印象を

聞き手に与えました。オペラへの出演は、限られましたが、彼女のリサイタルは、彼女の音楽と声

とを、充分に吟味して整えられたものでした。特に、かつて、フランスの名バリトンの、ピエール・ベルナックの薫陶を受けた、「フランス近代歌曲」、デュパルクやプーランクは、彼女の演奏によって、新しい魅力を聞き手に与えてくれました。

私にとっての、大きな思い出があります。2011年12月、世界的な歌曲伴奏ピアニストである、ダルトン・ボールドウイン氏の80歳の記念コンサートがニューヨークで開かれました。私もダルトン先生のお誘いもあり、コンサートで歌わせていただきました。このコンサートに、ジェシーも駆けつけました。

そして、アカペラで黒人霊歌を、ダルトン先生の伴奏でプーランクの「愛の小径」Chemin  de  l'amour  を歌いました。偉大なソプラノ歌手が歌うと言うより、まるで、天から(神様から?)のお使

いが、地上の人々へのメッセージを届けにきたのでは?と思わせる、貴く、素晴らしい演奏でした。

May her  soul  rest  in  peace!!    Kiki

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東京音楽コンクール [音楽]

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東京文化会館・東京都が主催する、「東京音楽コンクール・声楽部門」の第2次予選(8月18日)、と

オーケストラ伴奏による、本選(8月26日)を聞きました。

このコンクールは、2007年に第1回が催された、日本のクラシック音楽コンクールとしては、比較的新しいコンクールです。今年は、17回目を迎えました。

第2次予選(10名が選出されました)、15分のプログラム、本選(5名選出)は、オーケストラ伴奏による、20分のプログラム、と、とても内容が充実したコンクールですので、声楽の国内のコンクールとしては、非常に高いレベルが要求されています。コンクールでは、「選曲」がとても審査に影響します。自身の良さが充分に発揮できる曲目。また、コンペティションとして、他の応募者と比べられてしまう事も考慮しなければなりません。但し、多くのコンクールがそうであるように、応募時に、第1次予選から、本選までの選曲を提出しなければならず、変更はゆるされません。運不運も大きく作用します。

第2次予選の10名の若い歌い手たちの演奏は、どれも素晴らしく、力強く、感激しました。このまま、進化して行ってくれたら、日本の声楽・オペラ界も本当に明るいと思いました。

この中から、5名が、本選に進みました。オーケストラ伴奏による本選は、たとえば、オペラアリア3曲など、かなりプレッシャーがかかる本番でした。

2次予選の演奏と、本選での演奏では、やはり、キャリアの差のようなものを感じました。それと、こちらでも、「選曲」がとても大切!と痛感しました。

結果は、工藤和真さん(テノール)1位なし2位、井出壮志朗さん(バリトン)3位でした。なぜ、今回1位無しなのか?私には疑問が残りました。歴代の1位の声楽家をみても、納得が行きませんでした。

Kiki


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大野和士  10代のためのコンサート [音楽]

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素晴らしいコンサートに行ってきました。私のご贔屓の指揮者、大野和士さんの企画・指揮による

「10代のためのプレミアム・コンサート」です。

ソニー音楽財団主催で、来日している、バルセロナ交響楽団,大野和士さん指揮、数人のソリスト達と、東京シティーバレエ団が出演しました。

会場には、親子連れのお客様であふれ、私の隣は、パパと10歳くらいの娘さんの二人でした。

曲目は、「カルメン」前奏曲に始まり、Ravel作曲の「マ・メール・ロア」(マザーグース)の組曲の1~5までと、Falla作曲、バレー組曲「三角帽子」から、第2組曲と言う、一見、子供たちには難しい選曲?

と思われるものでした。

しかし、大野さんの親切で分かりやすい解説と、RavelもFallaにも、バレーが登場するという、サービスで、子どもたちにも、理解しやすい、また、充分楽しいコンサートとなりました。

加えて、特にスペインの民族舞踊のリズムをもとに、Fallaが作曲した「三角帽子」では、会場のすべてのお客様に、そのリズムを体感してもらう、手拍子、足拍子のレッスンもあり、本当になごやかな、

面白いコンサートとなりました。

クラシックの音楽会と言うと、白髪のお客が多くを占めているのが、現状ですが、この日ばかりは、とても若若しい、(でも、子どもたちもとても静かに聴いていました。)活気に満ちたものでした。

そして、会場一杯に広がる、オーケストラのそれぞれの楽器の音色と、得も言われぬ、ハーモニーが

渦巻き、将来、大人になった時、この音体験は、必ず子どもたちの脳にインプットされるに違いありません。

以前、ブログで紹介した「オペラ玉手箱」同様、大野和士さんの、「クラシック音楽やオペラの素晴らしさを、もっと多くの人に伝えたい!」と言う、切なる願いが詰まった、コンサートでした。Kiki


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指揮者大野和士さん [音楽]

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大野和士さんは、今まで日本のクラッシック界に登場した最高の指揮者です。1960年東京生まれ現在59歳(新令和天皇さまと同じ歳)です。私の持論ですが、「指揮者」と「作曲家」(クラッシック音楽に限っても良いかもしれませんが)は、満ち溢れる音楽の才能と、人間としての満ち溢れる魅力、が無ければ、就いてはいけない職業だと思います。

例えば、シンフォニーや、オペラのスコアーを一瞥すれば、音が、彼等の頭に直ぐに鳴って来る音楽理解力。膨大なスコアーを暗譜出来る、記憶力。指揮者の心身に思い浮かんだ音楽を、演奏者に伝える技術力(これには、語学力も入ります。大野さんは、5カ国語を自由に使います)。「この人の為なら、心を捧げてみよう!」と、演奏者に思い起こさせる、人間力等。

大野さんは、日本の指揮者では、数少ない、オペラが振れる指揮者です。前回のブログ「New Tenor!」でもご紹介したように、世界的にみて、「オペラ」を振れない指揮者は、一流の指揮者では

ありません。

大野さんは昨年から新国立劇場の総監督に就任しました。

「まってました!!マエストロ大野さん!!」そう、叫びたいほど、嬉しい就任でした。

オペラハウスの総監督は、自身が指揮をするだけでは無く、シーズン総ての演目を決め、あらゆるネットワークを使って、世界中から、指揮者、演出家、美術家、ソリストを招集し、そのオペラハウスの

世界での地位を高めて行く事を担っています。

開場して22年経つ、新国立劇場ですが、世界のオペラハウスのランキング(プロスポーツのように

公式なランキングがあるわけではありませんが)からすると、まだまだ、4流、5流(?)と言ったところだと思います。

一流は、イタリアミラノスカラ座、ウイーン国立歌劇場、パリオペラ座(バスチーユの新オペラハウスも含む)、ロンドンコベントガーデン歌劇場、ニューヨークメトロポリタン歌劇場、この5オペラハウスです。それに続いて、ローマ歌劇場、ミュンヘン バイエルン州立歌劇場、バルセロナ テアトロリセウ等。続いて、シカゴリリックオペラ、サンフランシスコオペラ、ジュネーブ歌劇場、ベルギーモネ歌劇場、チューリッヒ歌劇場、ナポリサンカルロ歌劇場、ベルリンオペラ等でしょうか?

オペラ歌手も、先の5大オペラハウスに主役ソリストとして出演すれば、一流と呼ばれるようになります。(ワグナーに代表されるドイツ語オペラは、また少し違いますが)日本では、ソプラノの林康子さん、テノールの市原多朗さんお二人が、このレベルに達しています。残念ながら、日本ではこのお二人以降、オペラ界の金メダリストは出ていません。

オペラを振れる、数少ない日本人の指揮者の大野和士さんは、スカラ座をはじめ、5大オペラハウス

で、指揮をしています。

彼の素晴らしいところは、日本人の歌い手を、どしどし、抜擢していることです。新国立の総監督に就任してからは、より一層、力を入れて日本人歌手を育てています。

以前述べたように、新国立劇場、二期会、藤原歌劇団等のオペラ公演での、合唱のレベルの高さには、驚きます。でも、ソリストは、ほとんど育っていないのが、現実です。

大野さんの新国立劇場総監督の登場で、国際的に通用する日本人オペラソリストが多く誕生することを,ファンとして心より、願っています。KIKI



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天才少年 [音楽]

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クラシックのプロの音楽家(主にソリスト)になるためには、早期英才教育が必須条件です。特に、巷で騒音に満ちている日本に於いてはです。音楽(クラシック音楽と限定して良いかもしれません)に、よほどの、理解とセンスのある家庭環境で無いと、プロの音楽家は育ちません。生まれた時から、センスの良い音楽に接することで、耳が養われます。ピアノや、弦楽器であれば、2~3歳くらいから、

プロの先生について、レッスンを始めなければなりません。日本人は、アマチュアが大好きな人種です。音楽でも研ぎ澄まされた、極限を求めるプロの演奏や、作品より、手軽な、身近な音楽が好まれます。これだけ、アマチュア合唱団が、乱立している国も珍しいです。その、アマチュアの中で、コンペティションが行われ、優劣が競われます。ナンセンスです。

しかし、このごろ、少しづつ、英才教育が大切と思う人々が増えて来ています。スポーツ、将棋、などが挙げられます。クラシック音楽も昔から、天才少年が存在しました。しかし、天才より、平凡な子どもが「良い子」とされる日本では、彼らが、素晴らしい芸術家に育って行くことが難しい国かもしれません。現在19歳になった、天才ピアニストと呼ばれていた、牛田智大君は、いっさい、テレビは見ないそうです。そうなのです、テレビからは、美しく、貴い、音楽はなかなか聞き取れません。Kiki


 



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街の音 [音楽]

Mejiro_MayerHall_Concert.jpg街の音が美しいなと感じたのは、ウィーンでした。もちろん都会ですから、、車の音、電車(ウィーンには路面電車があります)の音、人々のざわめき等が聞こえてきます。しかし、時々聞こえる教会の鐘の音、弦楽器や、木管楽器等の路上ライブの音楽、も電気を通したもので無く(もしかして条例で電気増幅機器の使用禁止されているのかもしれません)あくまで、アコースティックなものに限られれます。

そして、電車で30分も乗れば、ウィーンの郊外の田園地帯に行けます。そこでは、鳥の声などがはっきりと聞こえてきます。ベートーベンが「遺書」を書いたので有名な、ハイリゲンシュタットも電車で30分くらいの場所にあります。彼が住んだ家(ベートーベンは引越し魔でウイーンの中でも60回以上引越ししたと伝えられ、ウイーンのいたる処に、「ベートーベンの家」があります)のすぐ裏に教会があり、1日に数回時の鐘がなります。ベートーベンは、家からその鐘を見て、明らかに揺れていて、鐘が鳴っているのにかかわらず、自分の耳に音が聞こえてこなかった事で、自分の耳が聞こえないことを絶望的に知ることになります。

西洋キリスト教音楽は、元々は教会の中で歌われる聖歌から初まり、教会と言う石作りの内部で繰り広げられる「音空間」、残響や、倍音により、ハーモニーが生まれ、それらが発展して、今日の音楽にまで発達して来たと考えられます。現在は、日本のように、「キリスト教」とあまり密接では無い国々でも西洋音楽は普及しています。但し、音に関するセンスは、ウィーンの街の音に代表されるように、日常的なことで耳が培われると思われます。もちろん、自然の中に存在する、様々な音に接するのも大事です。それと、建物の中の音体験も加わって、耳のセンスは養われます。持論として、小さな頃からアコースティックな音に接する機会が多いほど、良い耳のセンスを持つことができるでしょう。

クラシック以外のライブに行く時、私は「耳栓」が欠かせません。それでも聞こえてくる音の強さに恐怖すら感じています。Kiki

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日本歌曲 [音楽]

ajisai.jpg主に、クラシックの歌い手によって歌われる分野で「日本歌曲」と言うのが、あります。ドイツ歌曲(シューベルトやシューマン)、フランス歌曲(フォーレやドビュッシー)、イタリア歌曲(トスティやレスピーギ)、ロシア歌曲(チャイコフスキーやラフマニノフ)、これらの外来の芸術歌曲(アートソングス)に倣って名付けられたと思います。作曲家としては、瀧廉太郎、山田耕作、平井康三郎、中田喜直、團伊玖磨等が挙げられます。作り手も歌い手も「歌謡曲」や「演歌」「J-ポップ」とは、一線を隔しているようです。確かに、「日本歌曲」として演奏される場合、言葉(詩?)の重要性、音域の多様性など外国の歌曲を手本に作曲されたものが多いと感じます。しかしながら、「歌謡曲」であれ「日本歌曲」であれ、人々がそれを聞いた時に心に響き、残る印象に大きな違いがあるのかしら?と思います。
ヴィタリ・ユシュマノフ氏と言うロシア出身(サンクトペテルブルク生まれ)のバリトン歌手が、2013年から、日本で活動しています。日本歌曲7曲を含む彼のリサイタル、「CD「ありがとう」を風にのせて」を聞きました。彼はもちろん「オペラ」も、ロシア歌曲はじめ様々な歌曲も歌います。彼の「日本歌曲」を聴いた時、私は、「目からうろこ」?また、ある種の衝撃を受けました。音楽の、それも声によって表現される音楽の本質を感じたからです。日本語の美しさ、上品さ、言葉に込められた深い意味、彼の歌にそれを感じました。CDのパンフレットのヴィタリ氏の「アルバムによせて」で、書いています。「日本の歌が素敵だと思った最初は、テノールの
ホセ・カレラスがコンサートのアンコールで歌った「川の流れのように」でした。」と!ちなみに彼はとても美しい日本語を話ます。Kiki
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