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眞しほ会 [邦楽・長唄囃子]

7112652[1].jpg眞しほ会は、歌舞伎・長唄 囃子方のお流儀の一つ、「藤舎流(とうしゃりゅう)」の現家元、藤舎呂船氏がプロの囃子方育成のために始めた会で、今年で34回目を迎えます。

歌舞伎の伴奏音楽には、義太夫、清元、常磐津、長唄等ありますが、長唄は、囃子も加わる大編成(フルオーケストラ?)で演奏される大変迫力のある歌舞伎音楽です。


歌舞伎とオペラは、とても似ている事が多いと私は考えます。第1はその誕生時期です。いずれも1600年前後と言われています。歌舞伎は、1603年、出雲(現在この出自は確かではないとされています。)のお国と言う踊り手が京都で「かぶき踊り」を創めたことによるとされています。また、オペラは、1597年フィレンツェで作曲家Periの作品「ダフネ」が上演された時とされています。

そして、いずれも、貴族、武士階級だけでなく、一般民衆の支持を得て発展を遂げてきました。但し、オペラはまず「音楽」ありきの舞台芸術である一方、歌舞伎はどちらかと言うと、演技、役者、舞台装置等が主で、音楽に関しては、オペラほどではありません。


しかし、長唄に関しては、歌舞伎の発達途上で、こちらも、オペラにおけるフルオーケストラのように、

劇を盛り立て、ストーリーをドラマティックに展開していくために、非常に重要な役目をする「音楽」として発展して行きました。長唄には欠かせない(長唄の曲によっては、唄と三味線だけのシンプルな設定のものもあります)お囃子は、元々、能楽から来たもので、編成・楽器も、能楽と同じです。藤舎流も元々、能楽囃子方がルーツとお聞きしたしたことがあります。

先日の第34回眞しほ会(2月28日)では、能楽でも有名な「竹生島」「勧進帳」が、演奏されました。

両曲とも、今日、能楽でも歌舞伎でも、上演される演目です。特に勧進帳は、歌舞伎十八番として

非常に人気が高い演目です。


「勧進帳」は1702年初代市川團十郎が草案し、1840年五代目市川海老蔵(後の七代目市川團十郎)が能の様式を取り入れて、ほぼ今の「勧進帳」で初演とされています。そして、長唄の名曲とされる「音楽」としての勧進帳(作詞 並木五瓶  作曲 四代目杵屋六三郎)は、度々、邦楽の演奏会でも取り上げられます。そして、この「音楽」としての「勧進帳」を聴く時、大げさかもしれませんが、私はは、日本の音楽芸術の奇跡を聴くような気がします。


と言うのは、鎖国していた日本には、1800年代に大輪の花が咲いた、西洋キリスト教音楽は、一切

入って来ませんでした。あくまで、日本独自の文化の中から生まれた音楽です。


7112683[1].jpg歌舞伎が、オペラに近い音楽劇(ミュージカルとは違う)と、強烈に感じたのは、2007年の十二代市川團十郎と現海老蔵一座による、パリオペラ座での歌舞伎公演です。この歴史的な公演を観劇することができたのは、私の宝になっています。そして、その時の「勧進帳」と「紅葉狩」のいずれもで、

歌舞伎音楽の真髄を堪能しました。オペラ座の隅々まで、届く、唄、三味線、囃子のアンサンブルは舞台上の演劇がより一層ドラマティックなものとなりました。あの音は、オペラ・音楽の殿堂、パリオペラ座ならでは?と深く感じました。


「ナポリを見て死ね!」(多分イタリアの?)と言う、言い伝えがありますが、「勧進帳を見て死ね!」とあえて、申し上げましょう!Kiki


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